愛とセックス
よくある飲み会でのよくある話。
酔っ払った女の子達が男に、彼女はいるのかと問う。
男はまたこの話かと思いながら思いながら、今彼女はいないと答える。
そう答えると急に元気になる女達、いつから彼女いないの、いつ別れたの、どんなタイプの女の子が好きなのと興味本位で次から次へと、さながらマシンガンの如く男に撃ち続ける、男がボロを出すまで撃ち続ける。
男は彼女ではないけれど、セックスをする女の子がいると、とうとうこぼしてしまう。
先ほど迄楽しそうにマシンガンを撃ち続けていた女達は、求めていた答えを得たのにもかかわらず先ほどの楽しそうな姿とは異なり、
鬼の形相でさらに撃ち続ける。
端っこで話を聞いていたおしとやかなかわいらしい女の子もさながら鬼の形相で話に加わる。
男は自分がしていることはそれほど非道な事なのかと考える。
僕とあの子がしていることと言えば
一緒にご飯を食べて、映画を見て、たまにセックスをして
そこらへんのカップルがしている事と同じことをしているだけではないか。
彼女という肩書きがそれ程、重要なのだろうか。
いつのまにか鬼の形相の女の話は右から左で、
セックスとはなんだろう、愛とはなんだろう、彼女とはなんだろうとよく分からない事を考えてしまった。
ちゃんと話聞いてるの、ぼーーっとするな
女の声で我に帰った男は思った。
愛ってひとそれぞれなんじゃないかなと。
付き合っていないから結婚していないから、愛していない訳でもない。
色々な形があってもいいんじゃないかなと。
女たちの飲み会を早々に切り上げた男は
携帯電話を手に取り電話をかける。
あ、俺、今から会えないかな。
うんわかった待ってる。
今日はいつもより会うのが楽しみだ。